ある電車に乗り合わせた乗客１３人が、突如入ってきたチンピラ２人にいいように弄ばれるだけという映画。
このチンピラが暴力を一切使わずに会話のみで絡んでくるのが凄い。そしてイライラする。
まるで新バットマンのジョーカーのように、人間の本性をさらけ出させるような行為そのものに快感を得てるような知能犯。
そして絡まれる乗客の配置が上手い。老人、ゲイ、飲んだクレ、負傷している軍人、黒人と社会的弱者を潜ませ、都会の無関心を
描きながらも、彼らの持つ心の闇をあぶりだす。それが矮小で、つまんなくて、それゆえリアルなのだ。
だが１００分が長すぎる。５０分もかけて登場人物の紹介に費やすわりには、連中はただの事なかれ主義者なので、命をかけた
軍人の行動が全く浮かばれない。それが監督の狙いなのは分かるし、最後のセリフにどれだけ皮肉を込めているかも分かるんだが
ここまで追い詰められた人達がまったく戦いに参加しないというのが、ちょっとありえないと思うんだよなぁ。
結局、何も出来ない、何もしない乗客。人間はここまで物分りがいいものなんだろうか？　俺は疑問だ。