前半はいい。ヴァルツ扮するドイツ人歯医者兼賞金稼ぎとジャンゴの道中は面白い。ＫＫＫの元ネタであろう軍団が目の穴の位置で言い合ったり、時系列を変えた編集など、西部劇なのに現代風で、いかにもタラ風だ。
しかしディカプリオ扮する差別主義者キャンディが出てくると映画が途端にトーンダウンする。遊びがなりを潜め、いきなりマジメになるからだ。だがそれ以上に、そもそも例えお尋ね者とはいえ、散々殺しまくってる
主人公一派が、ジャンゴの妻奪還においては正規の売買で決着をつけようとするのが面白くない。ってゆーか意味不明。しかも、当面は黒人奴隷戦士ブローカーを装い、戦士奴隷の売買の傍らに目当ての女奴隷を購入するという
作戦がまったくまだるっこしい。主人公側にはＫＫＫ団を爆殺するだけの武力があり、賞金による資金も潤沢なのだ、この二点を封印する意味がわからん。ジャンゴの妻も簡単に見つかり、上記の嘘作戦が見抜かれても
単純に金で解決してしまい、なんというか、１秒で済むことをわざと難しくしている感が強いし、作戦が失敗しても目的達成とか、娯楽映画として破綻しているだろ。作戦の成否が目的成就とほぼ無関係なんて杜撰すぎ。
まだある。ディカプーがマンディンゴ（黒人奴隷同士によるバトル）好きという設定が全く映画に反映されてないし、そもそも最強の黒人差別地域ミシシッピで黒人差別主義者の最右翼がいかに金のためとはいえ
「黒人ジャンゴを客として迎える」のはありえないし、そしてジャンゴの奥さんが簡単に見つかりすぎ（敵地について１分でご対面とかアホなの？）。何もかもがデタラメすぎる。
ディカプリオを裏で操ってるのが奴隷頭（執事）のサミュエル・Ｌ・ジャクソンというのは唯一良いと思う点だが、それによって満を持して登場したディカプリオがクソみたいな扱いすぎて、それがいかにもタランティーノ
らしくって、右肩下がりの盛り下がりは健在といった所か（デスプルーフとか、キルビル２とかラストが一番つまんねぇんだよなぁ）。ラスボスが実はアッサリ死ぬって超つまんないよね。
だって、その後映画は何をもって締めとするの？　黒人というだけで殺される時代において安息の地などないというのに、そんなのシラネーよってラストはカッコイイけど、散々黒人迫害を描いてきて、このラストは燃えないよ。ｂ

あとさ、黒人奴隷だらけの農園内にジャンゴを招き入れるのを１００歩譲ってよしとしても、拳銃を預からないって、どーよ？

ｂ